未完成の建売住宅を購入されたお客様からの依頼で、構造部分のみの工程検査チェックで、建築途中の住宅にお伺いいたしました。当日は、お客様ご夫妻と仲介された不動産屋さん(ある有名住宅企業の子会社)と私の4人で構造部分に瑕疵や欠陥がないのかチェックさせて頂きました。3階建ての木造住宅でしたので、まず足場を使用して、屋根部分を見に行きました。既に、屋根は施工済みでしたので、屋根の下地のルーフィングの確認はできませんでしたが、そこである違和感を感じました。ルーフィングの立ち上がり部分が250mmギリギリあるかないかだったのです。(建築基準法では、最低250㎜以上)
そして、軒先部分を確認すると、ひねり金物が一切ついていない!(たまに、軒先が短い物件では、ひねり金物を使用していないところがみられますが・・・)
※建築基準法施行令及び旧建設省告示1460号では、「構造耐力上主要な部分(小屋組を含む)の継手又は仕口にあっては、ボルト締、かすがい打、込み栓打その他の国土交通大臣が定める構造方法により、その部分の存在応力を伝えるように緊結しなければならない(後段略)」と規定されています。よって、小屋組においては特段にひねり金物を設置する旨の具体的表示はありませんが、大臣が定める構造方法により、その部分の存在応力を伝えるように緊結しなければならないという規定があります。
また、梁や胴差を接合する梁の継手補強金物も、ついていたりついていなかったり・・・・。また、小屋束と梁・胴差等を接合するかすがい金物もついていたり、ついていなかったり・・・・。それどころか、見れば見るほど、不具合のオンパレードです。羽子板ボルトがついていない箇所が何か所もあったり、ナットの閉め忘れ、およびナットのネジ山不足(最低でも、2~3山以上)多数・・・・また、筋交いプレートのビス抜け、耐力壁の筋交いの木材の割れ、剛床の床材の釘のピッチが150㎜以上の箇所あり、耐力壁の構造用合板の釘の打ち忘れ、ホールダウン金物の施工方法の間違い、等、切りがないほど、多くの指摘箇所がありました。
はっきり言いまして、昔の欠陥や手抜きの建売住宅を再現しているのではないか?と思うくらいひどい状態に、同じ建築に関わる仕事をしている者として、ショックを受けました。素人のお客様からしても、私が指摘すると、すぐに不備がわかる状態で、お客様及び、仲介した不動産屋の営業マンの方もショックを受けておられる状態でした。はっきり言って、これらの施工不備は、すべてヒューマンエラーだと考えられます。大工さんの技量不足及び知識不足及び怠慢、施工管理者(今回の場合は、下請の工務店)さんの施工管理の不備、チェックを全くされていないことが問題です。それと、売主が地元の不動産屋さんで、施工は、下請けの工務店さんにすべて丸投げしているみたいです。また、その工務店さんから、下請け業者に仕事を投げている可能性が高いので、恐らく、利益を出すために、どこかの下請け業者にしわ寄せが行って、これらの信じられないヒューマンエラーが続出したと思われます。今回、お客様が私に依頼されなかったら、ほとんどの部分が壁に隠れたりしますので、発見されずに、引渡しされたと思われます。そう思ったらゾット致します。ですが今回は、指摘部分を全部改修して頂いたので、私自身も少しは安心しました。宣伝になりますが、建売の未完成物件を契約したり、契約しようと思っている方は、第三者である弊所の新築住宅工程検査サービスを受けてみて、安心感を得てみてください。